見積もりをめぐる話を見積もり初心者としてきた話

こんにちは、CTOの山岡(@hiro_y)です。

イノベーター・ジャパンでは「&donuts(アンドーナツ)」というプロジェクトをやっています。簡単に言うと、職住近接のコンセプトを基に子育て中のお母様方などに郊外のオフィスに集まっていただき、そこでお仕事をしてもらうという取り組みです。現在、千葉県・柏の葉と神奈川県・湘南(辻堂)に拠点を設けています。

今回、東京オフィスと&donuts柏の葉オフィスで「見積もり」をめぐるお話会(自由参加の勉強会みたいなもの)を開催しました。クライアントワークでは見積もりを出す機会はいくらでもありますし、社内のやり取りでもどれぐらいかかりそうか、話し合う機会は多いと思います。そのコミュニケーションを改善するきっかけになればよいなと思ってのことでした。

東京オフィスでは割とかために、見積もりとは〜のような感じで話を進めたのですが、&donuts柏の葉オフィスでは、そもそもメンバーの大半が「見積もり初心者」であることもあり、話すことを絞りつつ、例え話を中心に進めました。そこでどういう話をしたのか、簡単にご紹介しようと思います。

悲観的に考えること

&donuts柏の葉オフィスから東京オフィスまで移動する場合、つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅から電車に乗って、北千住駅で東京メトロ千代田線に乗り換え、表参道駅で降りるのが最短ルートです。その場合、だいたい1時間ぐらいかかります。

でも例えば、千代田線が何らかの理由で止まっていたらどうでしょう。北千住駅でJR常磐線に乗り換えたり、東武線に乗り換えたりして別のルートで移動しなくてはなりません。その場合、1時間では着かなくなります。なので10〜20分程度の余裕をあらかじめ見ておけば、万が一のことがあっても安心ですよね。

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よく見積もりで「バッファ」を見ておけ、と言われることがあるかと思います。この場合の余裕がそのバッファにあたります。バッファを見ることは、リスクについて考えることです。アクティビティの中でどのようなリスクが想定されるか、リストアップしましょう。そして当然、対応できるリスクと対応しきれないリスク(つくばエクスプレスが止まってしまうなど…)があると思うので、そのあたりを明確にしておいて、見積もりをめぐるコミュニケーションに添えることができるとよいと思います。

全部うまくいくパターンだけ考えて、楽観的に構えてしまうとリスクに遭遇した場合に対応が遅れてしまったり、クライアントに迷惑をかけてしまったり、自分たちだけが損害を被ってしまうことになりかねません。きちんと悲観的に(ネガティブな意味ではないです)いろいろな場合を想定して、考えておくことが大事です。

ちなみに「悲観的に考えること」についての言及は森博嗣さんの本『悲観する力』を参考にしました。

悲観する力 (幻冬舎新書)

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分解すること・インプットを揃えること

次にアクティビティを分解する効用について話しました。一般的な見積もり論でいうところの、WBSの作成や前提条件の確認がそれにあたります。見積もりはインプットが揃わないと正確なものができませんよね。そのあたり、料理に例えました。

さて、ある日の山岡家の晩ご飯、献立です。

  • ごはん
  • アジの味醂干し
  • ホウレンソウの胡麻和え
  • 大根と人参のきんぴら
  • 舞茸と厚揚げのお味噌汁

晩ご飯を作るとき、何時までに作らなければいけないか考えて、それぞれの品にどれぐらいの時間がかかるか考え、どういう順番で作るか決めてから作っていきますよね。最後にきちんと、全部ができている状態になるように考える。これってまさに、見積もりの作業そのものだったりするのです。柏の葉オフィスはお母様が多いので、この辺は手慣れたもの。

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例えば、お米をといで炊飯器にセットするところまでは別の人が担当する、これは人的リソースの計画そのものです。また、「ホウレンソウの胡麻和えを作る」はさらに細かい工程に分けられます。「ホウレンソウを茹でる」「胡麻をする」「和えて味を調える」と。それぞれにどれぐらいの時間がかかって、何の準備をしたらよいのか。その総和が全体で必要なリソース(人、材料、時間)にあたります。

ちなみに、何度か胡麻和えを作った経験があれば、この辺わかっていますよね。経験したことのあるアクティビティの見積もりは、精度が高い。逆に言うと、経験を繰り返せば見積もりの精度を上げることができます。

でもこれが、「スフレのチーズケーキの作り方」だったらどうでしょう。そもそも材料が何で、どういう工程があって、どれぐらいかかるのか調べないと作れませんよね(作ったことがなければ)。

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そのためには、インプットが必要です。材料、作り方、全体でかかる時間。インプットの情報がきちんと揃っていれば、より正確な見積もりができるようになります。逆に少ない場合、精度が下がったり、そもそも違うものができてしまうかもしれません。足りないインプットがあれば、きちんと揃えられるようにしましょう。

まとめとメンバー募集

見積もりについて、全然難しく考える必要はありません。プロジェクトのアクティビティを完了させるために必要なものを明らかにする過程であり、コミュニケーションの一部です。インプットをできる限り揃えた上で、きちんと細かいアクションに分解、積み上げて考えること。その経験を繰り返すことで、精度の高い見積もりができるようになります。

また、楽観的に考えすぎず、必ず悲観的に考えて、どのようなリスクがあるのかきちんと洗い出すこと。それをきちんと見積もりの内容や、見積もりをめぐるコミュニケーションで明らかにしておくこと。そこまでできれば、見積もりはもう、できたも同然です。

最後に宣伝。&donutsでは、引き続き新しいメンバーを募集しています。取り組んでいる業務も多様化しており、webメディアの運用だけでなく、webエンジニアやwebデザイナーとして働いていける方も募集しておりますので、ぜひ興味のある方はお声がけください。ワークスペースの見学や、具体的な話を聞きたいなどのリクエストもお待ちしています。